2016-01-01から1年間の記事一覧

孤独を愛せるか

永久に生きるものに幸せはあるのだろうか。愛する人の死の連なりは、どれだけ精神を痛めつけるのか、ぼくには想像もつかない。その時々の愛情だけで、僕たちは孤独に耐えられるのか。想い出という名の過去に対する記憶は、必ず死のイメージと結びつく。死に…

永遠の詩 「レッド・ツェッペリンに捧ぐ」

ぼくが欲しいのは、便利な言葉じゃない 必要な言葉だ ぼくの心が欲するもの それはただ必要な言葉だ 言葉は旋律とともに現れる もしかしたら旋律のみでもいいかもしれない その旋律が言葉を蘇らせるから 旋律が言葉を産み出すから もしかしたら旋律さえいら…

映画にとって必要なもの(『ビッグ・ヒート 復讐は俺に任せろ』フリッツ・ラング)

ぼくにとって映画に必要なものは動作だ。動作が全てを支配する。動作とは効率的な動きだ。効率的とは目的を最小限の動きで達成することだ。登場人物が各々の思惑に対して効率的な動作を行い、物語が進んでゆく。それは理想郷であり、ぼくはその理想郷を見る…

偉そうにふるまいたい(『秋日和』小津安二郎)

若いころに対峙するのに苦手だった男たちのようになりたい。彼らは決してこちらを理解しようとしなかった。彼らの理解内にぼくたちを閉じ込めていた。その絶対的な精神的距離が、彼らを成熟させたものとして見せたし、その精神的距離の遠さが彼らと話をする…

うんざりしてしまったよ(『うるさい妹たち』増村保造)

ぼくが若さを尊いものと認識したことはなかったし、むしろ若さを疎ましいものとして捉えていた。それなのに、いつの間にか自分が歳を重ねるにつれて、嫌がっていた若さに自分は囚われていて、むしろ執着さえしていたことに気がついてしまう。鏡の前にいる男…