二つの世界(『狩人の夜』チャールズ・ロートン)

きれいは穢い、穢いはきれい。いろんなことを二分割する。いろんな価値観で二分割する。世界がきれいに二分割されたとき、驚くことにそれは、まったく同一のものとなる。それは、指に描かれた「LOVE」と「HATE」が表現するものと同じだ。ぼくが生きている世界は、きみと同じなのだろうか。ぼくが悪と思っているものは、君にとって善になるのか。ぼくが善と思っているものは、君にとって悪になるのか。それはまったくわからないけど、きっとそうなのだろう。神に仕えるものは、彼を崇めるものを殺し、彼を崇めるものは、彼を松明で焼き殺す。それは恐ろしいことなのだけれども、ぼくが世界を信じたいと思うのは、その世界を融合しようとする、ささやかな意志が存在するときだ。悪の歌と、無垢の歌が重なった時、ぼくはとめどなく涙を流した。