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悪夢のような画(『ポイント・ブランク』ジョン・ブアマン)

何度観ても、初めて観たような気がする。でも全てはわかっている。それは毎日みる悪夢と同じだ。始まりと終わりはいつも一緒。でもそこに入り込むと、いつも驚いてしまう。何もかもが明らかなのに、すべてが曖昧だ。そこに描かれている風景は、湿度が低い空気で、笑顔も悪意も失意も恐怖も、同じ明度で映し出されてしまう。主人公が最初に現れるのは、最後に消えるのと同じ空洞だ。空洞の中で、彼は裏切られ、殺され、蘇る。彼は幽霊かもしれないけど、ぼくはそれを信じない。なぜならぼくも、彼と同じように、時間を行き来したいからだ。空間の中に漂いたいからだ。スクリーンに映し出された文様は、繰り出される拳に、無意味な装飾を与える。同時に奏でられるリズム・アンド・ブルースも同じ効果だ。死ぬときに観た映画を、蘇ってまた観る。血の色は渇き、手足は冷たいままだ。奇跡のような映画と言えるが、凡庸な映画とも言える。だからぼくは愛するのだ。